コラム
2020年10月26日7:57 PM [マーケティング]
目次
大きな決断や高い買い物をした後に、緊張状態が解けて一気に気持ちが緩んで無防備な状態になる、という経験がある方は多いと思います。
この現象は「テンション・リダクション効果」と呼ばれていて、この状態で更に別のものを勧められると、本来買うつもりのなかったものや普段であれば少し高いなと思う値段のものでもつい一緒に買ってしまったりします。
新車を購入した際にオプションを勧められて、落ち着いて考えればそれほど必要がないものではあるが、気が緩んでいるため付け足してしまった、というのはテンション・リダクション効果が働いた例です。
また、ネットショッピングで何かを購入した際に「こちらの商品もおすすめです」と表示されるのも、テンション・リダクション効果を狙った手法のひとつです。
ウィンザー効果は「その商品やサービスとは直接関係のない第三者からの意見に信頼性を感じる」という心理効果です。
SNSや口コミで「あのお店はとてもよかった」「この商品はすごく使いやすくてオススメです」といった声が多ければ、自然と信頼してしまいます。
ウィンザー効果のポイントは「その商品と直接関係がない=利害関係がない」という点で、お店のスタッフなどではなく第三者の評価であるからこそ起きる心理効果であるという点です。
このウィンザー効果を利用したマーケティングの代表例は、お店で見かける「お客様の声」や、ショッピングサイトなどの「レビュー機能」です。第三者の評価を掲載することで、購入を検討する際の重要な判断材料になります。
日本人に特に当てはまりがちな心理効果として「松竹梅の法則」というものがあります。
これは松・竹・梅のように3段階のプランを用意しておくと、中間の「竹」にあたるプランが最もよく利用されるという法則です。
これは極端性の回避とも呼ばれ、最も安いプランや、最も高額なプランより、一番無難とも言える中間のプランを選びたくなる心理です。
更に、プランが一つであれば人は「買うか買わないか」で悩みますが、三つあれば「どれを買うか」で悩みやすくなるという傾向もあります。
マーケティングにおいて一番売りたいものを真ん中に設定し、低いグレードと高いグレードのものも用意することで、松竹梅の法則をうまく活用することができます。
こちらもマーケティングによく見られる心理効果です。
バーナム効果は「誰にでも当てはまりうるような情報を、まるで自分のための言葉であるかのように捉えてしまう心理」のことで、日常においてわかりやすい例は「占いや心理テスト」です。
「あなたはいま何か悩みを抱えていますね?」といった言葉は、実際には多くの人に当てはまりそうですが、まるで自分に対する正しい指摘であるかのように捉えてしまうことがあります。
マーケティングに活用する際は「最近、疲れが取れていないと感じていませんか?」「今の年収に満足できないあなたへ」などのようなコピーであれば、読んだ人が「これは自分に向けたものだ!」と捉えてもらいやすくなります。
アンカリング効果は「最初に目にした情報が、その後の判断に影響を与える」心理効果です。
これは様々な所で非常によく使われており、例えば8000円のスニーカーが売られていれば「少し高いな」と思うかもしれませんが、これが「12000円から4000円値引き」された金額であれば、12000円を基準として考えるので、むしろお買い得だと感じます。
このように通常価格や他社製品の価格など、比較対象となるものを設定することでアンカリング効果をうまく活用できます。
ただし、アンカリング効果を狙って実際に販売していた通常価格以上の価格を割引前のものとして設定してしまうことは、景品表示法違反となるため注意が必要です。
プロスペクト理論は「損失の度合いと意思決定の関係性に関する理論」です。
プロスペクト理論によると、人は利益を得ようとするときは確実性を重視し、損失を受けるときはリスクを負ってでも損失を回避しようとする傾向があります。
例えば「100万円が80%の確率で手に入る」もしくは「80万円が100%の確率で手に入る」という二択があった場合、後者を選ぶ人の方が多くなります。
ところが「100万円の借金が50%の確率で全額免除になる」「100万円の借金が確実に半額になる」という二択の場合、実は前者の方が多く選ばれます。
マーケティングにおける応用例は「顧客満足度95%!」のように満足度の高さをアピールするコピーや「気に入らない場合は全額返金保証」といった損失回避性に基づいたキャンペーンなどがあります。
ザイガニック効果は「未完了のものや、情報の一部が隠されているものに注意が向かう」という、日常においてもよく実感する心理です。
テレビ番組でみる「CMのあと、衝撃の展開が!」というテロップは、このザイガニック効果を引き起こす狙いがあります。
この心理効果は勉強や仕事にも応用可能で、例えば休憩をする前にあえてキリのいいところまでやらず少しだけ作業を残しておいたり、課題の1ページ中最後の一問だけを残しておくことで、やる気が起きずダラダラと休憩してしまうのを防ぎやすくなります。
ザイガニック効果はバナー広告のコピーやブログタイトルによく利用されます。「3ヶ月で英会話をマスターできる驚きの方法とは?」といったように、内容が気になってしまう一文を意識しましょう。
この記事でご紹介したものの他にも、マーケティングの場では多くの心理学の原理や法則が使用されています。
とはいえ、これらの基本的なものをうまく活用することができれば、充分に集客・売上効果を生み出すことが可能です。
Webサイトや広告、SNSなど活かせるポイントは数多くあるので、ぜひ一度皆様のマーケティングにも取り入れてみてください。
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